第二の故郷　山西省への再訪問　 　　　　　　　小松崎　

昨年三月、孫が結婚し、孫夫婦が私に言うには、「じいさんが戦前、戦後を通して三十数年過ごした山西省太原を観光、新婚旅行したいので手配してほしい」ということでした。

　私が「お前たちが勤め先の有給休暇日程を決めたら、観光訪問日程表を作り、山西省中国国際旅行社副総経理黄　玉雄先生に日程表を国際便で郵送し依頼するから」と孫夫婦に伝えました。

　早速休暇日程と観光箇所を記して持参してきました。航空券の購入は孫夫婦が手配することが決まりました。出発日は十月二十日の日曜日と決まりました。

　ところが九月になって尖閣諸島問題が発生し、中国国内も騒がしくなり、日本人に対する反感、故意も多々あり一時は目を覆うような場面もありました。

　十月初旬に太原市内中国国際旅行社副総経理から、私の自宅に国際電話があり「現在、尖閣諸島問題が起き治安が良くないので、治安が良くなるまで来訪を待ってほしい」とのことでした。このことを孫夫婦に伝えると、先に購入しておりました航空券の払い戻しをお願いしたら、日本航空も状況を理解したようで全額払い戻しをしてくれました。

　治安の安定を願いながら十一月に入り、このころから夕方になりと軽い咳が出るようになり、薬局で購入した咳止め薬を服用していました。服用すると一時的に咳はとまりますが数日過ぎると咳が出ますので薬を服用していました。繰り返しながら十二月の末になり、今年は例年と違い尖閣諸島の問題もあるので中国山西省の朋友からの年賀状はないと思っていましたが十二月二十五日から今年の一月十日までに、例年通り個人的に十数通の来信がありました。どの文面を見ても「来訪を待っています」という文章が書かれていました。

　但し、政府部内の朋友からは来信がありませんでした。なお、各個人に対しての国際電話通話はいつもの通りで変わりはありませんでした。

　一方では咳が止まらないので家族に病院に行って診察を受けるように勧められたので病院で診察を受けたところ、精密検査が必要とのことで、Ｘ線，ＣＴ，ＭＲＩ、採血等を受け再診察の結果、右側の肺に胸水があり、抽出するので入院治療が必要となりました。

　抽出された胸水は四日間で六千ＣＣでした。新たに肺がん治療も始めました。三十日間の入院治療で退院、後は通院治療となりました。孫夫婦の新婚旅行のこともありましたので、考えてみると中国人朋友からは個人的には例年通り年賀状があるのだからと思い国際電話で問い合わせてみたところ「現在は状況も安定しているので心配はない」との返事でした。このことを孫夫婦に伝えると「喜んで有給休暇の手続きをし、旅行日程も決め、航空券購入とじいさんの車いすの手配も、日本航空にお願いするから心配しないで」とのことでした。私は孫夫婦からの話を聞いて、病院の担当医師に中国渡航の理由を話しましたら、「一週間入院しなさい、その間できるだけの治療をしてあげよう」とのことでした。

　幸い次男も仕事の都合をつけ同行すると言ってくれたので安心して旅立つことができることになりました。早速国際電話で中国の朋友に三月二十一日から二十五日の予定で成田を発ち北京空港経由太原空港に入る、到着後はそちらで手配してほしいと連絡しました。

　二十一日は四人そろって成田を発ちました。搭乗受付口では職員が車椅子を用意して待っていてくれました。機内まで案内と操作を世話をしてくれました。帰国の際も太原空港から北京空港まで日本航空と同様援助お世話いただきました。

　北京空港では太原居住の老朋友が出迎えてくれました。太原到着後、予約の飯店に入りました。飯店内でも備え付けの車いすを利用できました。滞在中は私が歩行できないことを考えて老朋友がそれぞれ飯店に会いに来てくれました。帰国時みんなにそれぞれにお土産を頂き、量が多いので段ボール箱に詰め、郵便小包で自宅に発送しました。

　老朋友の変わらぬ友情に対して深く感謝しております。政治的には種々問題がありますが、友情交流に対しては，情の厚い配慮を示してくださいました。

　孫夫婦は老朋友のお世話と案内で北京市内で王府井や天安門そして世界遺産、太原近郊の平遥古城，双塔寺、普祠など観光させてもらいました。

　次回の中国訪問はいつになるのだろうか、再〃訪問は実現するのだろうか、と後ろ髪を引かれる思いで北京空港をあとにした。

　謝謝!中国的老朋友ｲ門。祝ｲ尓ｲ門永遠的健康和幸福！

　　筆者　小松崎氏は２０１６年５月逝去されました。　合掌