武田 光司
私の学生時代のアルバイトといえば、家庭教師が一般的だった。教え終わった後、お茶の時間に出される「茶請け」に何が出てくるか楽しみだったし、勉強中とは違う子供の表情も興味深かった。夕食を家族と一緒する時など家庭の雰囲気を覗き見するような気分だった。月謝はその月の最後の授業日、お茶の時間に封筒に入れて出されてくる。ある時、帰り際になっても肝腎のモノが姿を現さない。露骨に催促するのも体裁が悪いので、婉曲に迫った。「今月も、もう終わりましたね」。話の流れに不自然さはあったが、予定もあるし仕方がなかった。
中国の留学生と関わり合って、住と食で彼等に心配のないように配慮してあげることが、最大の保証だと私は考えている。上を見たら限りが無いし、当方の力にも限界がある。従って、私の頭の中にある苦学生のレベルである。中でも食については、いつでも私共の食事で良かったら一緒にどうぞと門戸を開いている程度だ。私共の留学生は女房の煮魚が好物で、大変喜ぶ。「美味しかった！ご馳走さま！」と帰ってゆく。たまたま、なにかで翌日会う。日本人なら「昨日はご馳走さまでした」となる。常識だ。が中国の留学生からはお礼の言葉はひと言もない。どうもすっきりしない。親しい間柄なので催促する。「昨日のこと、忘れているのでない！」「なんですか」「食事のこと」「え？」となる。
彼等の心情はこうらしい。中国人は親切に対し、その時感謝を言葉と態度で表す。次に表す時は、口先ではなく、自分の全てで表す。表す機会が訪れるまで感謝を心中深く蔵しておく。こう説明された。日本では、とりあえずお礼の言葉を言い、本当の感謝はまた感謝として表すのが慣習なのだと私は説明した。私の中国人との交際で、特に河南省の人々との交際で、私はいく度も留学生の説明を納得する機会をえた。勿論、私の催促なしである。
私の故郷紹介
汪
私の故郷は南京です。南京は東の紫金山や玄武湖公園、街路樹に覆われた落ち着いた雰囲気を持つ美しい町です。
南京の歴史は古いです。三国時代に呉の孫権が都を置いて以来、十の歴代の王朝や政府がここに都を定めた。孫権のお墓は紫金山脈の梅花山あたりにあります。
南京の観光名所はたくさんありますが、皆さんにぜひ訪ねていただきたい所は玄武湖公園、中山陵、中山長江大橋などです。
玄武湖公園は、南京駅のそばにあります。市民の憩いの場です。広い湖面、美しい緑の島々。日本の静かな公園とは対照的に、毎朝五時くらいから、公園に、太極拳、気功、社交ダンス、自己流のトレーニングなどをする人々が溢れています。とてもにぎやかです。中国の庶民の一日はここから始まります。
中山陵。中華民国の父・孫文のお墓はここにあります。紫金山脈の斜面を利用して、荘厳雄偉、美しい建物が延々と続いています。近くに明孝陵という明朝始皇帝（朱元璋）の陵墓もあります。沢山の石兵、石将、石馬、石象などが明代からお墓を守っています。
南京は中下流域に位置します。黄色の水が汚物をすべて埋葬してしまうかのように悠々と流れる長江。そこに架かる六千七百メートルの大橋は新中国の人々の自慢です。今年の長江流域での大洪水では、上流域と比べ、江南地域では江面（長江の川面）が非常に広いため、水を沢山ためることができ、南京の災害を少なく済ますことができました。
南京の食べ物もとてもおいしいです。南京塩水鴨は軟らかくて、とても良い風味をもち、全国でも有名です。中国現代化の風に乗り、南京は美しく変わりつつある。名所のほかに、ショッピングセンターも沢山あり、人々は豊かで、生き生き生活している。
どうぞ、ぜひ一度南京にいらっしゃってください。きっといい思い出になるとおもいます。